6月 062010
 

北海道新聞朝刊のコラム「朝の食卓」に記事を執筆しました。

阿寒の森を開拓していた頃の話です。
「景観を守る」事について書きました。


「景色を買う」 有明 正之

出先できれいな景色に出会いカメラに収めたけれど、家に帰ってから見ると画面のど真ん中に電線が映り込んでいてガッカリした、という経験を持つ人は多いと思う。

カメラは、視界に入る物すべてを情け容赦なく切り取ってしまう。だから写真で見て初めて、こんな所にこんな物があったのかと気付く事がある。おかげ大傑作になるはずだった作品が台無しになってしまったりする。

あんな所に電線があるのが悪いのだと恨んでみてもしょうがないが、海外から来た知人も日本の道路を走っていて、電柱や標識の多さには驚かされると言っていた。彼らに言わせると、「見苦しい景色」なのだそうだ。

欧米では電柱の無い街並みも多い。美観を重視し電線は地中に設置するそうだ。日本でも地下埋設化を進めているようだが、膨大な予算が必要なため、なかなか進んでいないらしい。

そんなこともあって、阿寒の森に移住して家を建てた時には、家から見える範囲100㍍程は電線を地下埋設した。せっかくの景観を損ないたくなかったからだ。

視界の中に武骨な電柱や電線が見えない景色は気持ちが良い。コストはかかったけれど、ちょっと気どって「美しい眺めを買った」と考え、満足している。

(パイオニアラボ代表)・釧路