朝の食卓に「森の隣人たち」を執筆

2013年4月1日

北海道新聞朝刊の連載コラム「朝の食卓」掲載

森の中で出会って一番ビックリする動物とは?

パイオニアラボの阿寒の森に住む動物たちの話です。


「森の隣人たち」 有明 正之

私の住む釧路市の阿寒の森の家は、隣家から1・5キロほど離れている。

道路のどん詰まりにあるため、わが家への来訪者以外に人間を見かける事はほとんどない。半面、野生動物は日常的に見ることができる。

エゾシカは、毎日家の周りで草を食べている。野生の生き物には干渉しないように心がけているのだが、朝起きて外に出た時に目が合ってしまった時だけは、「おはよう」と声をかけている。

キタキツネも頻繁に見かける。子育て時期には、子ギツネの待つ巣穴に食べ物を運ぶ親ギツネの姿を見ることができる。

他にも、森にはエゾリス、シマリス、ウサギなど、さまざまな動物がすんでいる。屋根の上で音がするので、木の枝でも落ちたかなと思ったら、実はモモンガだったということもあった。

わが家の「隣人」は森の動物たちなのである。

こんな環境だから、森の中を散策している時に動物と遭遇しても、驚くことはない。

ところが、1度だけ森で生き物に出会って、本当に驚かされたことがある。キノコ採りの人が木立の間から突然出てきた時だ。

人里離れた森の中で驚いてしまう場面とは、一番いそうもない生き物と出くわした時なのだ。

(パイオニアラボ代表)・釧路