10月 132009
 

北海道新聞朝刊のコラム「朝の食卓」に記事を執筆しました。

一頭のエゾシカが生きて行くのに必要な面積は?

役に立たない知識について書きました。


「役に立たぬ知識」 有明 正之

ご近所さんと世間話をしている時、面白いことを聞いた。

「大昔に聞いた話だから真偽のほどは分からないが」と前置きをして、その人は「エゾシカ1頭が生涯生きていくためには、約50ヘクタールもの山野が要るのだそうだ」。

シカ一頭が生きていける広さなど、知ったところで、一般の人の社会生活には何の役にも立たない。ましてや本人が言うように根拠さえも、よく分からない。

しかし、私はとても興味深く感じ、こんなことを考えた。仮にシカ1頭で50ヘクタールなら、人間が一生暮らしていくには、一体どれだけの土地が必要なのだろうか?

食べ物やエネルギーの供給に必要な面積は? はたまた排出した二酸化炭素の吸収に必要な森林は? そう考えると、かなりの面積が要りそ うだ。では、限りある地球という空間で人類が生きていくには、どんな暮らし方をしていくべきなのだろうか。想像は果てしなく広がっていく。

学校や職場では普段、実際に役に立つ知識を身につけようと、みな一生懸命である。だが、時には実生活に役に立ちそうもない知識に思いをはせ、空想をふくらませるのも悪くない。

普通では思いもつかないアイデアや考え方は、そんなところから生まれるのかもしれない。

(パイオニアラボ代表)・釧路